2024年 トイレットペーパーの値上げはいつ?

2024年 トイレットペーパーの値上げはいつ?

 

 

食料品、電気料金から交通費まで、私たちの身の回りのものの値上げが続いています。私たちが取り扱っているものの中でも、トップクラスに影響が大きいのがトイレットペーパー。ということで、2024年のトイレットペーパー値上げ動向を見ていきます。 

 

トイレットペーパーの値上げはいつから?値上げ幅は?

みなさんの最大の関心事は「いつも買っているトイレットペーパーはいつ値上がりするのか」ですよね?ということで、まずは各社の値上げ動向を見ていきましょう。

エリエール(大王製紙) 

エリエールを展開する大王製紙は2024年2月1日に値上げを発表しました。値上げ時期は2024年4月1日からで値上げ幅は約10%です。既に値上げ済となりますので、現在の価格は値上げ後の価格となります。

 

クリネックス(日本製紙クレシア) 

クリネックスを展開する日本製紙クレシアも大王製紙に次いで2024年2月7日に値上げを発表しました。値上げ時期は2024年4月22日からで値上げ幅は5~10%以上としています。こちらも既に値上げ済となりますので、現在の価格は値上げ後の価格となります。

 

ネピア(王子ネピア) 

ネピアや鼻セレブなどを展開する王子ネピアは2024年2月9日に値上げを発表しました。値上げ時期はクリネックスと同じで2024年4月22日から。値上げ幅は10%以上としています。こちらも既に値上げ済となりますので、現在の価格は値上げ後の価格となります。

 

エルモア(カミ商事) 

クリネックスを展開する日本製紙クレシアも大王製紙に次いで2024年2月7日に値上げを発表しました。値上げ時期は2024年4月22日からで値上げ幅は5~10%以上としています。こちらも既に値上げ済となりますので、現在の価格は値上げ後の価格となります。

 

丸富製紙 

超ロングなどの長巻きトイレットペーパーで有名な丸富製紙は、2024年2月2日に値上げを発表しました。値上げ時期は2024年4月1日からで、値上げ幅は15%以上となっています。

その他のメーカー 

その他のメーカーのトイレットペーパーも、夏ごろにかけて各社値上げをします。ホームページ等で告知をしていなくても、値上げがあると考えておくのが妥当でしょう。

 

なぜ一斉に値上げするの?

これまで見てきたように、どの会社もほぼ同じ時期に値上げをしています。各メーカーの主体性がないようにも見えますが、これには理由があります。
みなさんもなんとなくわかると思いますが、トイレットペーパーは「少しでも安く買いたい」と考えている人が多い商品です。なので、いつも購入している商品が値上げになると、他にもっと安く買える商品はないか、お店はないか、業者はいないか、と探すようになります。で、もし値上げされていない安い商品があると簡単に切替が起こってしまうんですね。

ただし、トイレットペーパーは一気に生産量を増やすことが簡単にできない商品です。つまり、需要が集中しても結局生産が間に合わなくなってしまうのです。もちろん、メーカーにとっては注文を微増させるようなことができると嬉しいわけですが、この調整は想像以上に難しいです。

このように、トイレットペーパーには横並びで各社が値上げをせざるをえないという事情があるのです。

 

 

トイレットペーパーが値上げされる理由

トイレットペーパーの値上げの動向がわかってきたところですが、そもそもなんで値上げになってしまうのかが知りたいところです。実は、トイレットペーパーが私たちの手元に届くまでのありとあらゆるコストが上昇しているという背景があるんですよね。それでは、トイレットペーパーが値上げになっている、その理由について、詳しく見ていきましょう。

 

理由1 原料価格の上昇

トイレットペーパーは古紙またはパルプを原料として製造されます。パルプも古紙も様々な要因で価格は上下しますが、中長期的には上昇します。
まず古紙については、そもそもの古紙の量が減っています。スマホの登場で人々は新聞や雑誌を読まなくなり、様々なシーンでペーパーレス化が進んでおり、紙の消費量が右肩下がりになっているので、その分古紙の量が減っています。古紙の供給量が減るほどトイレットペーパーなどの古紙需要が減るわけではないので、古紙の価格は上がっていくということになります。
パルプについては、大部分が輸入になっています。なので、世界的な需要や生産量によって価格が変動しますが、パルプを運ぶための輸送費や人件費は上昇し原料価格に転嫁されるため、結局価格は上がっていくということになります。
このような理由から、再生紙もパルプも中長期的には価格が上昇します。

 

理由2 燃料費の上昇

トイレットペーパーは機械をたくさん使用して製造します。原料となるパルプや古紙が持つ紙の繊維を細かくして水に溶かし、薄い紙になるようにすいて、乾かしていくわけですね。手でやる紙すきを体験したことがある方もいらっしゃると思いますが、これを巨大な機械で大量に実施していると考えればイメージできるでしょうか。

紙ができた後も、トイレットペーパーの形にして梱包します。これらの作業もほとんど機械が実施するんですよね。

ということで、大きな機械をたくさん動かすわけですが、ここにたくさんの電気が必要なのです。2024年6~7月には全国的に電気料金の値上げが予定されていますが、これの影響を思い切り受けてしまうんですね。

 

 

理由3 物流費の上昇

世間では物流2024年問題として騒がれているように、物流業界で働く方々の働く環境改善により、物流費が値上げされます。既にヤマトや佐川急便など2024年4月に値上げを実施している大手の物流会社がありますが、今後は中小企業でも同様の値上げが実施される見込みです。

トイレットペーパーは大きさの割に値段が高くないため、商品価格に占める物流費の割合が高いです。このため、物流費が上昇すると、すぐに商品の価格が上がってしまうのです。

また、トイレットペーパーの配送というのは物流業界の中でも人気がありません。商品が大きく重たいイメージがあり、1つ1つ荷物を積んだり降ろしたりするのがたいへんだからです。このため、物流会社としても他の仕事があれば、無理してトイレットペーパーを配送したいとは思わず、結果として料金が上がりやすいのです。

さらに、トイレットペーパーは今後物流費が値上げされる見込みです。実は、トイレットペーパー業界はパレット輸送が進んでいません。パレット輸送とはパレットと呼ばれる四角い板の上に商品を積んだまま商品を運ぶ輸送手段のことです。パレット輸送が標準になれば、物流会社の負担が軽減され、輸送手段の確保がしやすくなります。ただし、パレットごとトラックに乗せてしまうために、トラックに積載できるトイレットペーパーの数は減ってしまうため、結果としてトイレットペーパー1個当たりの物流費は上昇してしまうんですね。パレット輸送は大手製紙会社は取り組みを進めていますが、業界として標準化するまでには時間がかかり、今後このパレットの費用も製品価格に値上げという形で転嫁されていくことになります。

 

 

理由4 人件費の上昇

 日本全体が賃上げになっているように、トイレットペーパー業界でも、働く人たちの生活環境を守るために賃上げが進んでいます。2024年度も大企業から中業起業まで多くのメーカーが賃上げをする予定です。
賃上げをしなければ、各メーカーの社員の生活の質がさがるだけでなく、製造に必要な社員を確保できなくなってしまい、予定している量の生産が行えなくなる可能性もあります。生活インフラとなっているトイレットペーパーが不足する事態を防ぐためにも、トイレットペーパーに関連する各社は、賃上げをしていく必要があるということです。

 

2024年に更なる値上げはあるの?

トイレットペーパーにおける値上げの諸事情があることがわかったところで、私たちが知りたいのは「2024年に更なる値上げるはあるの?」ですよね。

まず、2024年に入ってからまだ値上げをしていないメーカーの商品については、これまでお伝えしてきた理由から、かなり高い確率で今後値上げがあると考えてよいでしょう。

一方で、既に値上げがされたメーカーの商品については、現時点で更なる値上げについて確定している情報はありません。先ほどお伝えした通り、トイレットペーパーは値上げにより別の商品を購入されるリスクが高いため、メーカー側も覚悟を持って値上げしているわけで、何度も値上げをするというのは避けたいというのが本音でしょう。

一方で、値上げの理由となっている燃料費、物流費、人件費の上昇は今後も続きます。年内に値上げがあるとすれば、電気料金改定と物流の2024年問題による物流コスト上昇の2つが想定以上だった場合は、更なる値上げもありうるのではないかと思います。

 

値上げへの対策方法は?

トイレットペーパーの値上げの動向がわかったところで、少しでもコストを抑える方法はないのか、と言うのが気になるところではないでしょうか。

 

トイレットペーパーはかさばる商品になりますので、買いだめをするといっても限界があります。別の安い商品を探すという手も、結局他もすぐに値上げとなる可能性が高いために根本的な解決策にはならないでしょう。

 

唯一やれる策としては、今よりも長巻きのトイレットペーパーを選んでいくという方法です。長巻きとは、1ロールに巻いている紙の長さが長い商品のことです。シングルでいうと、通常50メートルの紙が巻かれているのに対して、最長では300メートルの商品が登場しています。長巻きは、長い紙がコンパクトにまとまっていることから、輸送コストや梱包コストを抑えることができるので、メートル単価は通常のものに比べて安くなる特徴があります。長巻きが気になる方は、一度試してみるといいでしょう。

 

まとめ

ここまでの話のポイントをまとめると

・2024年にトイレットペーパーは値上げ済、または直近値上げとなる

・値上げしない商品は原則なく、どの商品も値上げになる

・トイレットペーパーに関するあらゆるコストが上昇している

・コスト上昇の状況によっては、2024年にもう1回値上げがあるかも

・値上げの対策としては、長巻きを選択するという方法がある

となります。

 

日々使うトイレットペーパーのコストが上がってしまうのは、消費者にとっては頭の痛い問題です。ただ一方で、生活になくてはならないものだからこそ、安定製造してもらえる環境の整備も大切で、しばらくは長巻きも選択肢にしながら、値上げを受け入れていく必要がありそうです。

 

 

 

湯浅 賢治

株式会社ユアサ代表取締役社長。トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの紙製品を中心とした日用消耗品の「へぇ~」が大好き。知識だけじゃなくモノを見て納得したいタイプ。実は消費者が知らないことが多い!と課題意識を持ち、日々の仕事で見聞きした知識を発信している。なるほどムービーとして短時間解説動画も配信中。

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