日常生活に欠かせないトイレットペーパーですが、その細部に隠された工夫について意識することはあまりないかもしれません。
今回はそんな工夫の1つであるトイレットペーパーに施された「ミシン目」にフォーカスし、ミシン目ができた理由や役割、ミシン目がずれた場合の対処法などについて紹介します。
トイレットペーパーのミシン目はなぜあるのか?
日常生活で何気なく使用しているトイレットペーパー。このトイレットペーパーに「ミシン目」があることは多くの人がご存じのことではないかと思います。
まずは、この「ミシン目」が一体どのような経緯で設けられたのか見ていきましょう。
トイレットペーパーのミシン目ができた理由
トイレットペーパーのミシン目ができた理由は、トイレットペーパーを設置するホルダーの形状によるものと言われています。
日本のトイレットペーパーはミシン目があるものとないものが混在しています。しかしながら、実はアメリカでは、ミシン目がほぼ全ての商品に採用されているのです。
この理由は、アメリカのトイレでは、上蓋がないトイレットペーパーホルダーが普及しているためです。上蓋がないと、日本のようにホルダーの蓋を使ってペーパーを切ることができません。そのため、トイレットペーパーを切りやすくするためにミシン目が必須となる文化ができあがっているのです。
このような背景から、ミシン目の文化は日本にも上陸し、日本のトイレットペーパーにも採用されるようになったというのが有力な説です。
トイレットペーパーのミシン目の役割
トイレットペーパーのミシン目は、先に述べたようにトイレットペーパーをカットしやすくするために施されたものです。
ミシン目があることで、必要な量だけ簡単にカットできるだけでなく、ミシン目の位置に応じて紙を均等にカットできます。
また、前節にもあるようにトイレットペーパーホルダーの種類によっては、上蓋でカットできないこともあります。
そのため、ミシン目を施すことでユーザーの好きな位置で綺麗にカットすることが可能です。
トイレットペーパーのミシン目の間隔の差はあるのか
トイレットペーパーは当初、もともとは一枚の紙として11.4cm四方で作られており、ミシン目の間隔もその幅に合わせて配置されていました。
このサイズは1920年代のアメリカで始まり、その後日本に伝わったとされています。
日本においても当初は11.4cm間隔が定着していましたが、後にミシン目を入れる機会の改良により、ミシン目の間隔が22.8cmに変わりました。
現在、多くのメーカーではトイレットペーパーのミシン目間隔が約20cmに設定されています。
しかし、ミシン目の間隔に関してJIS規格の定めはないため、メーカーによってその間隔が異なっているようです。
ダブルのトイレットペーパーのミシン目がずれたら?
ミシン目にまつわる話として、ダブルのトイレットペーパーのミシン目のずれがあります。
ダブルのトイレットペーパーを使用している方の多くは経験があると思いますが、ダブルは重ね合わせた2層の紙のミシン目がときどきずれてしまうことがあるのです。
使いにくいだけでなく、ずれていることがなんとなく「気持ち悪い」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実は簡単な対処で、ミシン目のずれを解消し快適にトイレットペーパーを使用することができるので、その方法をご紹介します。
ダブルのトイレットペーパーのミシン目がずれる理由
ダブルロールのトイレットペーパーのミシン目がずれる主な理由は、以下の4点とされています。
・ 上巻きのペーパーだけがカットされてしまった場合
・ 下巻きのペーパーだけがカットされてしまった場合
・ 偶然上巻きのペーパーだけがめくられた場合
・ 2枚重ねの上下の紙が逆になってしまう場合
ダブルのトイレットペーパーは、原料紙を複数枚重ねた状態でミシン目加工を施し、トイレットロールの形に巻き取ります。
そのため、製造工程の中でミシン目がずれてしまうことはなく、製品自体に問題があるわけではありません。
つまり、ミシン目のずれは、トイレットペーパー使用時に発生しているということです。
ダブルのトイレットペーパーのミシン目がずれたときの対処法
ミシン目がずれてしまった原因のうち、戸惑うことが多いのは「2枚重ねの上下の紙が逆になってしまった場合」です。この場合の対処法は以下のとおりです。
1. ミシン目がずれてしまったトイレットペーパーをペーパーホルダーから外す
2. 親指で下の紙1枚だけを挟むように片手でもつ
3. 反対の手で上の紙1枚だけをめくる
これで、上下のミシン目をそろえることができるため、任意の場所でカットしてミシン目を整えることが可能です。
トイレットペーパーのミシン目あるなしでの価格の違い
トイレットペーパーは原料や紙の長さ、プリントの有無などによって価格が異なりますが、ミシン目の有無によっても価格が変わってきます。
以下は、実際に販売されている商品からピックアップしたものとなります。
ミシン目あり | ミシン目なし | |
商品Aシングル(130m×6ロール) | 471円 | 438円 |
商品Bシングル(150m×6ロール) | 672円 | 566円 |
上記の表から見てわかるように、一般的にミシン目のあるトイレットペーパーは、ミシン目がないものと比べて、価格が高くなる傾向にあります。
これはミシン目をつける工程が必要となるため、若干ですが製造コストが高くなるためです。
このようにミシン目の有無によって、トイレットペーパーの価格が変わっていくため、トイレットペーパーのホルダーの形状によってミシン目があるものを購入するか決めるとよいでしょう。
ちなみに、日本ではホルダーの上蓋にトイレットペーパーを切りやすくするための加工がされているものが多く、ミシン目がなくても両手を使えば切りにくいことはないため、ミシン目は必須ではないでしょう。
ただし、「小さな子供がいて、上手に上蓋を使ってペーパーを切れない」「片手をケガしていて両手でペーパーを切る動作が難しい」などの場合は、ミシン目つきのものは重宝するでしょう。
まとめ
トイレットペーパーのミシン目は、日常生活において意識することはほぼありませんが、「切りやすさ」を実現するための工夫として施されるようになりました。
ただし、日本ではトイレットペーパーを切りやすくするための上蓋がホルダーについていることが多く、ミシン目の重要性はそこまで高くありません。
ミシン目があるほうが少し価格が高くなる傾向があるので、安くトイレットペーパーを調達したい方は、ミシン目がついていることにこだわる必要があるかチェックすると良いでしょう。
今後、トイレットペーパーを選ぶ時や利用する際には、ミシン目の役割にも注目してみてください。