自治体・事業者向け 令和版 災害に向けたトイレットペーパーの備え方

自治体・事業者向け 令和版 災害に向けたトイレットペーパーの備え方

災害時に役立つトイレットペーパーって何でしょうか。災害に備えてトイレットペーパーを備蓄しておかないとね、と考えるのは一般的で、多くの自治体や事業者が備蓄用のトイレットペーパーをストックしています。が、実はこれはコスト面でも運用面でも課題があるんです。この記事では「令和版 災害に向けたトイレットペーパーの備え方」と題して、安心してトイレットペーパーを備えるコツをお伝えします。

湯浅 賢治

株式会社ユアサ代表取締役社長。トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの紙製品を中心とした日用消耗品の「へぇ~」が大好き。知識だけじゃなくモノを見て納得したいタイプ。実は消費者が知らないことが多い!と課題意識を持ち、日々の仕事で見聞きした知識を発信している。なるほどムービーとして短時間解説動画も配信中。

災害時に役立つトイレットペーパー「超長巻き」

結論からですが、災害時に役立つトイレットペーパーというものがあります。
それはズバリ「超長巻き」のトイレットペーパーです。
超長巻き、って聞きなれないと思いますが、湯浅紙店ではシングルで200m以上の紙が巻いているものを「超長巻き」と呼んでいます。
超長巻きは、圧力をかけてギュッと紙が巻かれた商品で、一般的なトイレットペーパーホルダーに入るサイズでありながら、通常(50m)の4倍以上の紙が巻かれています。
たくさんの紙が巻いてあるので、交換の手間が省け、在庫スペースも削減できるので災害時に役立つというわけなんです

実際に災害が発生したときは、やることがもりだくさん。
トイレットペーパーなんかで悩むことは極力避けるようにしたいところです。
そんなときに1個あれば長持ちする超長巻きが力を発揮するというわけですね。
ホルダーに設置すれば長持ちして交換の手間が省けるし、保管の場所も少なくて済む。
地味ですが、こういうことが災害時はすごくありがたく感じられるものなのです


トイレットペーパー備蓄は実はコスト高  

災害に備えてトイレットペーパーを備蓄している自治体、事業所は多いです。
水や食料などと同じで、何かあったときのために備蓄するものの中に、トイレットペーパーが入ることは広まってきているようです。

では、この災害備蓄用のトイレットペーパーを選定において多くの人が基準にしているのは

・いつも使っているトイレットペーパー

・災害備蓄用トイレットペーパーの2つです。

それぞれについて見ていきましょう。

 

いつも使っているトイレットペーパー

いつも使っているトイレットペーパーを災害時のことまで考量して選定して自治体や事業所はほとんどありません。
そもそも災害に向いている「超長巻き」のようなものがあることが知られてないからです。
トイレットペーパーは「どれも同じ」「とにかく安いものを」と多くの人が思っています。
なので「今困ってないから、今と同じでいい」となるのです。
ただ、一般的な長さのトイレットペーパーを使っていた場合、超長巻きに比べれば4~5倍の早さで1ロールがなくなっていきます。
保管場所も4~5倍のスペースを確保する必要があるということです。
これは災害時に機能的とはいえないでしょう。
はっきり言って「めんどくさい」状態となります。

 


災害備蓄用トイレットペーパー

世の中には災害備蓄専用のトイレットペーパーというものが販売されています。
アルミニウムで真空パックされて、10年などの長期保証がついている商品ですね。
トイレットペーパーは使用期限などが定められていないものの、紙なので、保存場所が紙に適していない高温多湿や日に当たる場所であった場合、カビの発生や変色などが起きることもあります。
こういったことを防げるのが、この長期保存専用のトイレットペーパーです。
この災害備蓄用のトイレットペーパーは、その名の通り備蓄には向いていますが、製品をアルミニウムで真空パックする必要があり、その分コスト高となります。
メーカーの工場に真空パックができる設備があるケースは少なく、製造とは別の場所に移動して真空パックの加工を行うなどが必要で、製品価格は通常の3倍程度になります。

このようにしてトイレットペーパーを備蓄すること自体は安心につながりますが、備蓄することはその分の保管が必要になるということです。
トイレットペーパーはかさばる製品となりますので、保管する場所はをどうするのか、その費用をどうするのかは頭の痛い問題となります。


備蓄したトイレットペーパーをどうやって運ぶの?


トイレットペーパーの備蓄には「輸送」という観点でも課題があります。
トイレットペーパーは保管に場所が必要な製品です。
このため、多くのトイレットペーパーの備蓄を使用場所の近くに確保することが難しいケースが多いです。
よって、使用場所から離れた倉庫などに備蓄用の製品を保管する必要があるわけです。
使用場所から倉庫が離れるということは、いざというときに使用場所までの輸送が必要です。
つまりはトラックを手配する必要がでてくるということです。
また、災害時には安全に使用場所まで運ぶためのルートの確保も必要でしょう。
使用場所と倉庫が離れてしまうことにより「どう輸送するか」という課題が出てきてしまうのです。


おすすめは超長巻きの日常利用(ローリングストック)

トイレットペーパーを備蓄すること自体は安心につながるものではありますが、
これまで述べてきた通り備蓄には保管、輸送の課題とセットとなります。

で、実はこれらの課題を全て解消できる方法があります。
それが、
超長巻きの日常利用(ローリングストック)」
です。

前述したように、超長巻きは長持ちで交換の手間が少なく、保管場所も取らない
災害に適したトイレットペーパーです。
この長巻きのトイレットペーパー、実は1mあたりのコストで言えば、実は最も安価な製品なんですね。
基本的には、1ロールに長く紙を巻けば巻くほど、1mあたりのコストは下がります。
コンパクトにたくさんの紙が巻き付けられるため、輸送や梱包に関するコストを抑えられるからなのです。

なので、この実は最もローコストな超長巻きを日常利用しましょう。
そして避難所や事業所などで災害時に必要なロール数を確保しながらローリングストックするのです。

超長巻きならロール数でいえば通常の1/4~1/5になるので、これまでと同じロール数を
確保しておくだけで、4~5倍のトイレットペーパーを保有していることになります。
どこでも「古いものから使う」という運用はやっていると思いますので、この方法なら
現状と運用はなにも変更することなく、災害対策ができてしまう可能性があります。

これが、湯浅紙店がおすすめする災害時向けのトイレットペーパーの備え方です。

 

それでもトイレットペーパーを備蓄してしまう理由


このようなおすすめの災害への備え方がある一方で、この考え方はなかなか浸透が難しいようです。
その理由は「補助金」です。
自治体などでは、災害対策用に補助金が設定されていることが多く、各自治体はこれを財源として対策を行う必要があります。
一方で、日常利用でローリングストックするという考え方では補助金は適用できません。
このために、「超長巻きの日常利用(ローリングストック)」よりも、補助金で備蓄用のトイレットペーパーを購入するというケースが少なくないのです。


日常から災害対策された安心の街づくり

 

さまざまな事情はありますが、大事なことは日常から災害対策された安心の街づくりに向けて一人一人がやれることをやることです。
この記事を読まれて、自分が所属している自治体での対策に不十分さを感じて嘆いたところで何も始まらないでしょう。(もちろん提言することは大事ですが、、、)
それよりも自分の職場や出入りする施設から、対策の仕方を見直すことで、災害への安心感を高めていきましょう。
そのような動きが広がれば、やがて安心の街づくりの考え方の新しい基準ができていくでしょう


おすすめの「超長巻きトイレットペーパー」


最後に、湯浅紙店がおすすめする超長巻きトイレットペーパーをご紹介しておきます。

その他の超長巻きトイレットペーパーはこちら


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